自分に口臭を感じたら、その口臭を消したい、改善したいと思うのは当然ですよね?けれど、そもそもあなたが、その口臭に気づいたきっかけはなんでしたか?
東京歯科大学の亀山敦史准教授によれば、口臭外来などの受診者の中には「自分の口臭に自分で気づいた」と申告する人たちがいるものの、「自分で自分の口臭に気づくということは、本来の人間の身体の作りを考えた場合には、ありえないこと」なのだそうです。
なぜなら、まず第一に、口と鼻、つまり口腔と鼻腔はつながっているため、自分の口臭を自分の鼻で感じるのは難しいということ。第二に、鼻が持つ臭覚という機能は、しばらくのあいだ同じ匂いを嗅ぎ続けていると、その匂いを感知しなくなる「順応反応」を起こしやすいからだと言います。
確かに、初めて遊びに行った時に感じた友達の家の嗅ぎ慣れない匂いも、しばらくして鼻が慣れてしまうと気にならなくなる、といった経験を持つ方は数多くいらっしゃるのではないでしょうか?
ですから、「自分で自分の口臭に気づいた」というのは、おそらく家族や周囲の人たちが取った自分への態度から察知したものと推測できます。例えば、あなたと会話をする時に限って職場の同僚が顔をしかめたり、鼻に手をやるなど、言葉には出さないものの、あきらかに自分の口臭を避けているように感じられたことがある。だから、自分に口臭があることに気づいた、といった可能性などが考えられるのです。
この、「自分では自分の口臭には気づきにくいこと」と同じように、実は「本人も気づかないうちに、口臭が発生しやすくなる問題を抱えていたり、生活習慣を身につけてしまっている人たち」がいます。つまり、そういう人たちは意識せずして、「口臭が出やすい人」になってしまっていると言えるのです。
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「口臭が出やすい人」とはどのような人たちなのか?
では、いったいどのような人たちが「口臭が出やすい人」と言えるのでしょうか?
ここでは、「口腔内に何かしらの問題を抱えている人」「生活習慣に何かしらの問題がある人」「口臭の発生原因となる何かしらの病気に罹患している人」というの3つのカテゴリーにわけて見てみましょう。
【口腔内に何かしらの問題を抱えている人】
【生活習慣に何かしらの問題がある人】
【口臭の発生原因となる何かしらの病気に罹患している人】
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ただし、上記3つのカテゴリーにおいては、一見、異なる理由がもとで「口臭がでやすい人」になっているように思えても、実は、その根本的な理由には何かしらの関係がある場合なども考えられます。
例えば、ドライマウスの人は口腔内が乾燥することで口の中に雑菌が繁殖しやすくなるため、その雑菌が発生させる嫌なニオイのために「口臭が出やすい人」になっていると言えます。ただし、ドライマウスであるがゆえに虫歯や歯周病に罹患した人も、やはり「口臭が出やすい人」であるなど、それぞれが相互に関係している場合が考えられるのです。
「口臭が出やすい人」のそれぞれの口臭の原因とは?
口腔内に何かしらの問題を抱えている人
虫歯や歯周病に罹患している人
虫歯や歯周病に罹患していると、口腔内に虫歯菌や歯周病菌などそれぞれの細菌群が大量に繁殖します。そして、この細菌群が繁殖をする際に発生させる嫌なニオイのガスが、口臭のもととなるのです。
ドライマウスの人
ドライマウスに罹患すると唾液の分泌量が低下し、口腔内が乾燥します。すると、口腔内に生息している雑菌が繁殖しやすくなり、その繁殖の際に発生させる嫌なニオイのガスがもとで、口臭が発生しやすくなります。
歯磨きやマウスウォッシュなどを過剰に使用する人
一般に市販されている歯磨き粉やマウスウォッシュには、殺菌剤が配合されています。そしてこの殺菌剤は、口腔内に悪い影響を及ぼす悪玉菌と口腔内に良い影響を及ぼす善玉菌を区別することなく、一層除去してしまいます。すると、口腔内はかえって悪玉菌が繁殖しやすい状況となり、それら悪玉菌が繁殖する際に発生させるガスにより、口臭が発生しやすくなってしまうのです。
生活習慣に何かしらの問題がある人
生活のリズムが乱れがちな人
例えば、睡眠不足で疲れ気味だったり、食生活のバランスが悪かったりすると、唾液の分泌量が減少してしまいます。すると、口腔内に生息する菌が繁殖しやすくなるため、口臭が発生しやすくなるのです。
また、ここで言う食生活のバランスとは、食事のメニューが柔らかいものばかりで咀嚼(よく噛むこと)を必要としないため、唾液腺を刺激する機会が少なくなって唾液の分泌が低下する場合。あるいは、睡眠を優先したり、朝はお腹が空かないなどの理由で朝食抜きの食生活が当たり前になっているため、そもそも唾液を分泌させるための機会を失っている場合などを含みます。
ちなみに、一般的な朝食には、実は500mlのペットボトル1本分に当たる水分量が含まれると言われているため、朝食を取るか取らないかで、体内に蓄えられる水分の量も大きく違ってしまうのです。
緊張しやすい人/ストレスがたまっている人
緊張やストレスは、唾液の分泌をコントロールしている自律神経のバランスを乱してしまいます。この自律神経の乱れによって唾液の分泌量が低下し、口臭が発生しやすくなるのです。
便秘がちな人
食生活の乱れや運動不足などが原因で便秘がちな人の腸内は、常に不要な老廃物が溜まってしまっている状態にあります。そしてこの不要な老廃物のニオイが体内をめぐり、呼気となって現れることにより、嫌なニオイの口臭を発生させてしまうのです。
ニンニクやネギなどニオイの強い食べ物を好んで食べる人
ニンニクやネギなどニオイの強い食べものを食べた後は、口の中に残留している食べ物そのもののニオイや、その食べ物が口腔内に生息する菌のエサとなって菌が増殖する際に発生させるガスがもとで、口臭が起こります。また、胃や腸で消化されきっていない食べ物のニオイが呼気となって現れ、口臭となる場合もあります。
タバコやお酒などの嗜好品が好きな人
喫煙をすると、タバコに含まれているニコチン成分により、唾液の分泌量が低下します。そのため口臭が発生しやすくなるのです。さらに、習慣的な喫煙は、タバコの成分であるタールを歯の裏側を始めとする口腔内に付着させる原因となり、これが口臭となる場合もあります。
また、アルコールは体内に摂取された後、アルデヒドという悪臭成分に変化してしまいます。その悪臭成分が呼気として体外に吐き出される際に、口臭となってしまうのです。
コーヒーをよく飲む人
コーヒーに含まれるカフェインは、神経を緊張状態に導く作用をもたらします。つまり、コーヒーを飲みすぎると身体がストレスを受けているのと同じ状態になり、唾液の分泌量が低下して口臭を発生させやすくなるのです。また、コーヒーが持つ利尿作用は身体の中から水分を奪うため、やはり唾液の減少の原因となります。さらに、コーヒーに含まれるクロロゲン酸という成分には胃酸の発生を促進させる働きがあるため、この胃酸が口臭のもととなってしまう可能性もあるのです。
人とコニュニケーションをはかる機会が少ない人
専業主婦の方やフリーランスで働いている方など、人とのコミュニケーションを図る機会が少ない方。あるいは、職場で多くの同僚や先輩たちに囲まれてはいるものの、担当する仕事内容がパソコン作業などのデスクワークが中心で、人と話しをする機会があまりない方などは口臭が発生するリスクが高くなります。これは、人と会話をする時に口や舌が動くことにより唾液腺が刺激されて唾液の分泌量がアップし、自然と口臭を防いでくれることにつながる機会に恵まれていないためです。
姿勢が悪い人
「姿勢が悪いというだけで口臭の発生原因になる」と聞いて、びっくりされた方も多いのではないでしょうか?これは、例えば仕事で長時間にわたってうつむき加減の姿勢でパソコンの画面に集中せざるをえなかったり、プライベートでもスマフォの画面を俯き加減の姿勢のまま見続ける機会が多いなどといったことが原因と考えられます。つまり、長時間にわたって下を向いていると、唾液の流れが停滞して口腔内が乾燥してしまうため、口臭が発生しやすくなる、ということなのです。
過剰なダイエットをしている人
俗に、「ダイエット臭」と言われるこのニオイは、食事制限によって血液中に増加した脂肪酸がケトン体というニオイ物質と合わさることによって生じるものと言われています。このケトン体は糖尿病に罹患した際に発生するのと同じ強烈なニオイ持つ物質で、これが呼気として体外に排出されることにより、口臭となってしまうのです。
口臭の発生原因となる何かしらの病気に罹患している人
呼吸器、消化器などの病気、糖尿病、腎臓病、肝臓病などに罹患している人
これらの病気に罹患していると、それぞれの病気特有の口臭を発生させる場合があります。
例として、糖尿病による甘酸っぱい果物の腐敗臭のようなニオイや、肝臓病によるアンモニア臭、逆流性食道炎による酸っぱ苦い嘔吐臭などが挙げられます。
ただし、これらのニオイだけで病気を自己診断するのは危険です。「口腔内や生活習慣にはこれといった問題はないはずなのに口臭がする」といった場合は、できるだけ早めに、内科医その他の専門医の診断を受けるようにしましょう。
「口臭が出やすい人」が口臭を改善・消臭・予防する方法とは?
虫歯や歯周病など、口腔内に何らかの原因があって口臭が発生している場合には、当然のことながら、歯磨きやマウスウォッシュによる口臭ケアを怠らずに行うことが肝心です。
また、ここまででご紹介したとおり、さまざまな「口臭や出やすい人」の原因は、そのほとんどが「唾液の分泌量の低下」によるものです。なぜなら、唾液の分泌量の低下による口臭発生のメカニズムは、口腔内が乾燥することで細菌が繁殖しやすくなり、それら細菌が繁殖する際に発生させる嫌なニオイのガスが口臭のもととなるからです。
ですから、唾液の低下によって起こる口臭に対しては、「唾液の分泌量をアップさせるための対策を取る」ということが、それらの口臭を改善・消臭・予防するためのキーポイントと考えられるのです。
具体的には、まず第一に、睡眠不足を解消し、朝食を含めて1日3食、バランスのとれた食事を取るなど、生活習慣を規則正しいものに整えること。これに適宜な運動を加えれば、便秘解消のための対策にもなりますね。
また、ニンニクやネギなどニオイが強い食べ物や、タバコやアルコール、コーヒーなどの嗜好品はできるだけ控えること。
さらに、ストレスを受けやすい人は、好きな音楽を聴いたり、ゆっくりと入浴するなど、あまり多くのストレスを溜め込まないうちに解消すると良いでしょう。
あるいは、スマフォをいじるよりも誰かとおしゃべりするなど、人と直接コミュニケーションを図ることに時間を費やしてみたり、過度なダイエットは控えるなど、ご自身の口臭の原因に応じた対策をこ行うことが、それぞれの口臭をケアするうえでの一番の近道となるはずです。
とはいえ、一気に生活習慣を改善したり好きな食べ物や嗜好品を控えることは、なかなか難しいものですよね?そこでご紹介したいのが、「目からウロコ」の簡単、唾液量アップ法です。とはいえ、この方法、何の手間暇もいらない本当に簡単な方法で、ただ「こまめな水分補給を心がける」というものなんです。
「水を飲む」という行為は、お水を口に含むだけで唾液腺の刺激になり、体内への水分補給も同時に行うことができるため、それだけで唾液の分泌量が自然とアップできるのです。実に簡単で便利な口臭改善方法ですよね?
そもそも「水」は人の身体の50~75%を占める、人が生きるうえで欠くことのできない大切なもの。つまり、水は口臭対策はおろか、人の健康そのものに非常に重要な役割を持っていると言っても過言ではありません。
そう考えれば、身体に取り入れる「水」の中身にこだわってみるのも、口臭対策を含め、私たちが健康に生きるうえでも大切なことではないでしょうか?せっかく水分補給をするなら、お気に入りに水を見つけて、楽しみながら口臭対策ができるといいですね。
また、仕事中の空き時間やちょっとしたフリータイムに簡単にできる、唾液量アップのためのエクササイズなどもご紹介しています。
なお、仕事上のアポイントで大切なお客様に会う時や大好きな彼氏や彼女とのデートなど、速攻で口臭ケアをしたい「ここ一番!」という時は、こちらのグッズもオススメですよ。
最後に
知らず識らずのうちに生活習慣が乱れ、それが原因でさまざまなかたちで「口臭が出やすい人」になってしまっているということは、裏を返せば、乱れた生活習慣を軌道修正して整えれば、意識せずして「口臭が出にくい人」になることも可能だということです。
ただし、「口臭が出やすい人」になってしまっているそれぞれの原因を突き止め、それに見合った口臭対策を取ることが、より効率的に口臭を改善・消臭・予防することにつながります。ぜひ、このページを参考にして、ご自身はどのパターンの「口臭が出やすい人」に当てはまるのかを見極めたうえで、口臭対策に取り組んでいただけると幸いです。
また、「唾液の分泌量をアップすること」は、ほとんどの場合の口臭対策として有効です。簡単に唾液の分泌量をアップさせる方法として、ぜひ「小まめな水分補給」や唾液の分泌量をアップするためのエクササイズを心がけてみてくださいね。
ただし、口臭対策にはさまざまなアプローチ方法があります。時には「即効性の高さが期待できる口臭対策グッズ」を用いることで、これまで億劫だった人とのコミュニケーションを積極的にはかってみるなど、上手に口臭対策をすることで周囲の人との良い関係性を築き、ぜひ充実した日常生活を送りましょう。