口臭は漢方で体質改善して治す

口臭には、丁寧に歯を磨いても改善できない種類のものがあります。実際、口臭の原因として一番多いとされる歯周病や虫歯など、口腔内のトラブルを持たない人でも口臭に悩む方は大勢いるのです。

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漢方医学の世界では、これらの口臭を「舌の色や状態」と照らし合わせて診断。それぞれの口臭対策に見合った食材で作った食事を取ることや日常生活を送る上でのポイントに気をくばることで、口臭の改善を図ります。漢方医学は中国由来の伝統医学の影響を受けて日本で発達し、近年、再評価を受けています。

また、「身体の内側にこもった過剰な熱が『臭い』のもとになる」と考える漢方医学では、漢方薬を用いてじっくりと体質の改善を進めることで、口臭を改善へと導きます。ですから漢方による口臭対策は、対症療法的な口臭対策を行うよりも「身体の内側から根本的に口臭を改善したい」と考える方々にオススメの方法と言えるでしょう。

なかなか治りにくい口臭のお悩みをお持ちの方々も、このページを参照してご自身の舌の色や状態がどのパターンに当てはまるのかをチェックしていただくことで、それぞれの口臭改善にお役立ていただけると幸いです。

まずは口臭の背景にある自分の体質を知る

先にも述べたとおり、漢方医学においては「身体の内側にこもった過剰な熱」が口臭の原因になると考えられています。その「身体の内側の熱」には、大きく分けて以下のような3つのタイプがあります。

●痰湿熱(たんしつねつ)/「胃腸に熱を持っている」タイプ
●肝熱(かんねつ)/「肝臓に熱を持っている」タイプ
●腎陰虚(じんいんきょ)/「腎臓の血液・身体の潤い不足で熱が生じる」タイプ

では、それぞれのタイプの特徴を見てみましょう。皆さんも、ご自身がどのタイプに該当するか、自己診断してみてくださいね。

痰湿熱(たんしつねつ)/「胃腸に熱を持っている」タイプの特徴

【口臭の特色】
発酵臭のようなニオイ

【舌の色や状態】
全体的に赤い。また、中央から奥にかけて、ネバネバとした黄色味を帯びた舌苔(口腔内の古くなって剥がれ落ちた粘膜や食べカスなど)が付着している。

【漢方医学による所見】
舌の中央に見られる黄色味がかった舌苔は、口臭のもととなる細菌群の温床であるため、特に強い口臭を発生させる原因となります。

このような舌は、前日に大量のお酒を飲んだ日や暴飲暴食をした日の翌朝に多く見られます。これは、胃腸に過度の負担がかかって「胃熱」が発生し、それが「痰湿熱(たんしつねつ)」という状態に移行した状態なのです。

痰湿熱(たんしつねつ)の「痰」は、東洋医学においては喉に絡みつくものを含め、身体の内側に蓄積する「粘着性のある病理産物(病気の原因となる物質)全般」のことを指します。つまり、胃腸がうまく機能しないために体内の水分代謝が低下して余分な水分が滞り、蓄積してしまうために起こる状態です。

痰湿熱(たんしつねつ)の方によく見られる口腔内・外の症状としては、「口腔内が粘ついて不快感を覚える」・「歯茎の腫れ、出血が起こりやすい」・「くちびるが荒れやすい」などが挙げられます。
またこのほか、身体全般の症状として、「胃痛、胸焼け」・「身体のむくみ、重だるさ」・「関節痛」なども見受けられます。

肝熱(かんねつ)/「肝臓に熱を持っている」タイプの特徴

【口臭の特色】
寝不足が続いたり、ストレスが募るとニオイが強くなる

【舌の色や状態】
舌の縁や舌先に強い赤みを帯びている。

【漢方医学による所見】
肝熱(かんねつ)の方に起こりがちな口腔内のトラブルとしては、「舌に口内炎ができることが多い」・「口腔内が乾燥しがちで、大量の水分を欲する」などが挙げられます。

また、精神面におけるトラブルとしては、「いろいろなことに悩みがちで、不眠になりがちである」・「ちょっとしたことでもイライラすることが多い」・「生理前は特に精神が不安定になる」などが挙げられます。

このほか、先に述べた「精神の不安定」を含め、「胸の張りに痛みを覚える」などの「PMS(月経前症候群)の症状が強い」場合や、「生理不順」・「不正出血」などの症状も見受けられます。
さらには、「顔色が青白い」・「目の周りにクマが出やすい」などの症状が現れたり、「肩こり」・「偏頭痛」・「便秘」といった身体の不調のほか「不眠」を訴える方も多くいます。

腎陰虚(じんいんきょ)/「腎臓の血液・身体の潤い不足で熱が生じる」タイプの特徴

【口臭の特色】
唾液の分泌不足による口腔内の乾燥が原因で発生する口臭

【舌の色や状態】
舌全体が赤い。全体的に舌苔の量が少なく、乾燥している状態。舌の表面に亀裂のようなひび割れが見られる。

【漢方医学による所見】
腎陰虚(じんいんきょ)の方の場合、身体全体の水分が低下するため、身体の中で熱を作る火力は穏やかでも、相対的に見ると「空炊き」の傾向になります。つまり、結果的に身体が熱化してしまうのです。

このため、口腔内が乾燥して「ドライマウスなどによって口が渇く状態」が起こり、舌も全体的に干し椎茸のような状態になります。つまり唾液の分泌量も低下して口腔内全体に行きとどかなくなるため、唾液による歯肉の保護・殺菌・抗菌などの作用が働かなくなるのです。その結果、虫歯菌や歯周病菌をはじめとする細菌が増殖し、口臭が発生してしまうのです。
また、口内炎ができやすくなったり、舌が乾燥することで舌の表面にある味覚を感じる細胞も萎縮するため、味覚異常が起こる場合もあります。

そもそも腎陰虚(じんいんきょ)の方は身体全体の水分が枯渇するため、その弊害は随所に現れます。このため、その症状は「乾燥肌」や「髪のパサつき」・「ドライアイ」・「乾燥によるカラ咳」などを始め、「生理不順」・「不妊」・「便秘」・「排尿障害」。また、更年期障害からくる「ほてり、のぼせ」・「多汗」・「寝汗」・「難聴」・「耳鳴り」など、実に多岐にわたります。

タイプ別、口臭・体質を改善するための対処策

いかがでしょうか?ご自身がどのタイプの体質に当てはまるか、診断できましたか?全てがぴったり当てはまる、ということではなくても、思い当たるところが多いタイプを選んでみてくださいね。

なお、これ以降は、それぞれの体質別に起こりやすい口臭や症状を改善するための対処策をご紹介します。

痰湿熱(たんしつねつ)/「胃腸に熱を持っている」タイプの口臭対策

漢方医学においては、胃に熱が生じている痰湿熱の方は「胃腸がオーバーワークをしすぎている」と見なされます。なぜなら、私たちが多くの仕事をこなすために懸命に労働をした時に、身体全体が熱くなって(熱を持って)汗をかくということと同じことが、胃腸でも起こると考えられているからです。

例えば、偏食や過食癖があったり、夜遅い時間になってから食事を取るなど不規則な食生活を送っていると、口から取り入れた食べ物に対する「消化・吸収」や「排泄」の働きが間に合わず、胃腸に負担がかかります。
このため、痰湿熱の方の口臭は、消化しきれなかった食べ物が胃腸に停滞することによって生じる「発酵臭」のようなニオイがするのです。

胃熱を解消するには、「長芋」・「ゴボウ」・「冬瓜」・「生の大根」・「はと麦」・「豆腐」など、身体の熱を冷ます働きがあるとされる薬膳食材を積極的に取り入れ、栄養バランスの良い献立の食事を取ることを心がけましょう。また、胃腸に負担のかかる「揚げ物など油分の強い食材」・「塩分」・「トウガラシ、ショウガなどの香辛料」を控え、消化吸収の良い、薄味の食事を取ることがオススメです。

なお、消化吸収を良くするための調理法のコツとして知っておくと便利なのが、「食材を細かく切る」というひと手間です。さらに、食事を取る時に「意識的によく噛む」ことを忘れないようにするだけでも、胃腸への負担を減らすことができます。仕事の都合などで夜遅くに食事を取る場合には食事の全体量を控え、翌日の朝食をしっかりと取るようにすると良いでしょう。

このように胃腸の仕事量を軽減し、負担をかけないようにすることで、口臭の改善効果が期待できます。また、規則正しい生活を送ることで睡眠の質を上げ、便通などの身体のサイクルを整えることも、胃熱を改善することにつながります。

肝熱(かんねつ)/「肝臓に熱を持っている」タイプの口臭対策

漢方医学では、「情緒不安定」・「イライラ」・「不眠」などの症状を持つ方を、肝熱(かんねつ)と捉えています。そして、この体質を持つ方は、「強いストレス」を感じたり、「不眠」の状態が続くことによって、口臭が強くなる傾向にあります。

ですから、肝熱タイプの方の口臭を改善するためには、その原因となっているストレスを解消することが一番です。
ただし、同じことを経験してもそれをストレスと感じる人もいれば、感じない人もいます。また、同じ境遇に置かれても、そのことについて深く悩む人もいれば、まったく気にかけない人もいるのです。つまり、何をストレスと感じるかは人ぞれぞれですし、大人になってからそういった感受性そのものを変える、というのは簡単ではないですよね?

漢方医学の考え方は、「心身一如(しんしんいちにょ)」。つまり、精神と肉体はつながっていると考えられています。ですから、精神的なストレスを解消して元気になるためには、まずは身体(五臓六腑)を活性化して元気にする必要があると考えられているのです。そのためには、内臓の機能を向上させて身体のサイクルを整えることから始めましょう。

内臓機能向上のための一つの方法として運動を行う場合には、誰かと競い合うようなものよりも、リラックスできるものを選ぶのがオススメです。例えば、「ヨガ」や「ストレッチ体操」などで呼吸を整え、ゆったりと心を解放してあげましょう。日常生活の中に運動習慣を取り入れて、柔軟かつ血行の良い身体づくりを目指すと良いですね。

不安やストレスを感じた時には、深呼吸をしてひと呼吸置くことも大切です。深く、大きく息を吸って吐くことで切羽詰まっていた思いに一旦ストップをかけ、落ち着いて行動しやすくなります。

「ストレスとの関係を理解して口臭を改善する」のページでは、「一時的なストレスによる唾液の減少が原因となって起こる口臭」について述べました。 ...

食べ物では、「セロリ」・「ミント」・「柑橘系の果物」など、香りの良い食材を摂ると、鬱屈した気分を解消するのに役立つと言われています。
また、不眠を解消するためにアルコールを飲むことは、眠りが浅くなってしまい逆効果です。「ノンカフェインの温かいお茶」・「白湯」・「ホットミルク」などを適量飲む方がオススメです。

ストレスを感じる原因も人それぞれなら、そのストレスを解消する方法もまた、人それぞれなはずですよね?ですから、「自分はなぜ、そのことにストレスを強く感じてしまうのか?」といったことや「何が気になって眠れないのか?」など、根本的な原因を改めて振り返ってみることも大切です。

例えば、思うようにならないことがあって、それがストレスの原因になっているのなら、その思いを叶えられるように何かほんの少しずつでも努力してみましょう。そして、たとえ一息にその願いを叶えることは難しくても、「自分は努力している」・「自分は頑張っている」と、自分を評価してあげましょう。そうすることで、少しでも自分を解放し、前向きになることがストレス解消につながるはずです。

精神と身体のバランスが整ってストレスが軽減・解消されれば、自ずと口臭も改善・消臭できるはずですね。

腎陰虚(じんいんきょ)/「腎臓の血液・身体の潤い不足で熱が生じる」タイプの口臭対策

漢方医学においては、年齢や心身の消耗などを原因とする「身体全体の潤い不足」によって熱が生じるタイプの体質を腎陰虚(じんいんきょ)と捉えています。

このタイプの方の口臭は、唾液の分泌不足による口腔内の乾燥がもとで増殖する細菌がその原因となるため、「身体に潤いを与える」と同時に「身体の潤いを保持する」ための対策を取ることが得策です。

「身体に潤いを与える」ための薬膳食材として、漢方医学では「黒豆」・「栗」・「長芋」・「ゴマ」・「くるみ」・「キクラゲ」・「しいたけ」などが伝統的に用いられています。これらの食材を献立に取り入るよう、工夫してみましょう。

また、中国では古くから、充分な唾液の分泌は薬と同様に身体に潤いを与え、若さを維持するための大切な要因であると考えられています。ですから唾液の分泌を促すためにも、食事をよく噛んで食べることを意識することが大切です。そのためにも、食事のメニューには口当たりの良い柔らかいものばかりでなく、「雑穀米」・「ナッツ類」・「昆布」・「煮干し」・「スルメ」など、充分な咀嚼の必要がある食材を積極的に取り入れると良いですね。

また、「身体の潤いを保持する」ためには、過度の疲労やストレスを避けるように心がけましょう。「肉体疲労」や「寝不足」のほか、「不安」や「恐怖」などの精神疲労を伴う「ストレス」は、体の水分を司り水分代謝を担う腎臓の働きを多大に消耗します。ですから、疲労を感じたら強壮剤ドリンクなどで無理に頑張るのではなく、充分に休養や睡眠をとるように気をつけましょう。

できるかぎり細かいことでクヨクヨ、イライラしたりせず、ちょっとくらい嫌なことがあっても「生きていたら、きっとまた良いこともある」というくらいに考え、明るく希望に満ちたことや、楽しく前向きなことを考えて過ごすようにすると良いでしょう。

身体が充分に潤えば唾液の分泌量もアップし、口腔内の口臭の原因菌の増殖が抑制されるため、自ずと口臭の改善につながるはずです。

最後に

漢方医学の世界では、「口臭」はその内容に応じて、身体に起きているさまざまな不調と深い関係があると考えられています。あなたの場合は、3つのうちのどのタイプに分類できたでしょうか?

また漢方医学では、「未病の治療」(病気になる以前の治療)がとても重要なこととされています。ちょっとした不調から本格的な体調不良に陥ったり、大病に罹患することにつながらないよう早めの段階で身体をいたわり、ケアすることが大切と考えられているのです。
なお、漢方薬の処方などに関心がある方は、専門医による診断を受診されることをオススメします。

ちょっとした気遣いで取り入れられる漢方の口臭対策を気軽に取り入れることで、爽やかな息を目指してみませんか?

参考サイト
Kracie Kampoful Life , 口臭治療専業 中城歯科医院 , 薬石花房 幸福薬局
漢方食養生の林薬局 , サダ薬局, 漢方の山中薬局, 楽食Story
(最終閲覧日:2019.05.25)

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