外的口臭とは、簡単に言うなら、ニンニク・ネギ・ニラなどの強いニオイを持つ食品や、お酒・タバコなどの嗜好品の摂取によって起こる口臭のことです。通常、これらの口臭はほどんどのものが時間の経過とともに自然に減少します。
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口から摂取するものが原因となる外的口臭
一般的な外的口臭は、大きくわけて
1. ニオイの強い食べ物による口臭 2. 嗜好品などによる口臭 ・タバコが原因となる口臭 ・お酒(アルコール類全般)が原因となる口臭 ・糖分が含まれるお菓子類etc.が原因となる口臭
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の2種類が考えられます。
1. ニオイの強い食べ物による外的口臭
韓国料理やイタリア料理などでよく使われる「ニンニク」や「ニラ」、また和食の「らっきょう」や「納豆」をはじめ、食べ物そのものが原因となる口臭のことを言います。これはそれ自体に強いニオイ成分が含まれる食べ物を摂取した場合、それが消化される際に成分が血液中に溶け出し、肺を通して呼気として排泄されるために起こる口臭です。
これとは別に、食べ物自体にニオイ成分が含まれていないにもかかわらず、牛乳・チーズなどの「乳製品」や肉類などの「脂質」などが口臭の原因となる場合があります。理由はこれらの食品に含まれる「タンパク質」が、口臭菌の格好のエサとなるため。そのメカニズムは、口臭菌が口腔内でタンパク質を分解することによって腐敗臭を発生させ、それが口臭となってしまう、という仕組みです。
ですから、もともと口臭がある方がタンパク質が多く含まれる食べ物を食べると、口臭菌が増加して、舌苔(ぜったい=舌の上に現れる白っぽいコケ状のもの)や歯周病を悪化させる可能性も高くなってしまいます。
2. 嗜好品などによる外的口臭
《タバコが原因となる口臭》
喫煙したタバコが原因で発生する口臭の原因物質として、主に「タール」・「ニコチン」・「一酸化炭素」の3つが挙げられます。
このうち「タール」は一般的にヤニと呼ばれる成分であり、そもそもこれ自体が独特の強い匂いを持っています。喫煙後のタバコのフィルター部分に残る茶色のシミはタールによるものですが、これが喫煙時に舌・歯・歯垢・歯石など口腔内のあらゆる部分に広く付着し、口臭の原因になるのです。
また、「ニコチン」は喫煙によって肺から吸収され身体全体に広がっていく際、毛細血管の収縮や血圧の上昇を引き起こします。このため口腔内でも血液の循環機能が低下。これが原因となって唾液の分泌量が抑制され、口臭を発生させるのです。
さらに、「一酸化炭素」が血液中において酸素を運搬する役割を担うヘモグロビンと強く結び付くことで、体内における酸素濃度を低下させます。このため口腔内の酸素濃度まで低下させることになりドライマウス(さまざまな原因で唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥する病気)が発症。嫌気性菌と呼ばれる増殖に酸素を必要としない細菌が活発化し、歯垢を分解する際に揮発性硫黄化合物を発生させるなどして、口臭を引き起こす引き金となるのです。
《お酒(アルコール類全般)が原因となる口臭》
飲酒をした際のアルコールのニオイがそのまま口臭となってしまうものです。これはニオイの強い食べ物を摂取した時と同様に、体内に摂取したアルコールが消化される際、その成分が血液中に溶け出し、肺を通して呼気として排泄されるために起こるものです。
また、歯周病に罹患した場合に口臭が悪化することがありますが、これは嫌気性菌と呼ばれる歯周病菌が口腔内で繁殖し、口臭の原因となる硫化水素やメチルメルカプタンなどの臭気ガスを発生させてしまうため。そしてそのメカニズムは解析されてはいないものの、人を対象とする疫学研究では、「アルコール摂取量が多い人ほど歯周病の罹患率が高い」という結果が発表されています。
さらに、アルコールを摂取すると尿の量を調節する抗利尿ホルモンが抑制され、尿が頻繁に排泄されるようになって体内が脱水症状に近い状況に陥ります。すると、その影響から唾液が減少して口腔内の清浄環境が悪化。細菌が繁栄しやすくなることによって口臭が発生する、という悪循環を引き起こすこともあるのです。
実際、喫煙者が歯周病に罹患するリスクは、喫煙しない人と比較して最大8倍にも及ぶという結果も報告されています。これは、喫煙によって歯茎の血流が悪化。またこれと同時に、「ヤニ」と呼ばれるタバコの成分「タール」に歯垢がつきやすくなり、強力な歯周病菌バイオフィルムが発生するためです。
《糖分が含まれるお菓子類が原因となる口臭》
甘いお菓子などを食べた場合、そのお菓子に含まれる糖分が間接的に口臭を引き起こす場合もあります。これはそもそも、口臭菌が酸性を好むため。砂糖(糖分)を食べることによって酸性になった口腔内では口臭菌が活発化してしまい、それが口臭の発生原因へと繋がってしまうのです。
外的口臭を防ぐには……
外的口臭が上記のようなニオイの強い食品やアルコールの摂取が原因で起きている場合は、言うまでもなく、そのような食品やアルコール類をはじめとする嗜好品を体に摂取する機会をできるだけ減らすのが一番です。しかし、自らの嗜好の問題だけでなく人間関係をスムーズにするためには、時には人と一緒に食事やお酒を飲むことも必要でしょう。そこで、外的口臭を防ぐための簡単な対策を下記にまとめました。
①飲食後に歯磨き、うがいをする。
②食前もしくは食事中に緑茶を飲む。 ③食前もしくは食事中に食物繊維が豊富な食品を摂取する。 ④食後のデザートとしてチョコレートを食べる。 ⑤食後に口臭対策用サプリetc.を使用する。 |
口腔内に残った食べ物のカスは時間の経過とともに酸化し、腐敗臭のようなニオイを放つ口臭の原因になる場合があります。この場合、「食後の歯磨き」が大切なことは言うまでもありません。
また、意外と知られていないのが「うがい」の効果。口に含んだ水もしくはぬるま湯を「上下左右の歯に10回ずつ、速く・強くぶつけるイメージでうがいをする」ことによって、口腔内の細菌を洗い流せる効果があると言われているのです。さらに、歯磨きの後に「歯間ブラシ」などを使用することにより、歯磨きでは取りきることのできなかった食べカスをかなりの確率で除去することができます。
また、ニンニクなど強いニオイ成分を持つ食べ物を食べる際は、緑茶を飲むと口臭を抑制する効果があるとされています。これは緑茶に含まれるカテキンやフラボノイドが強力な殺菌・消臭作用を持つと同時に、ニオイ成分と結合することでそのニオイを軽減させてくれるためです。
さらに、ゴボウなど食物繊維の多い食べ物を一緒に摂取すれば、その成分である酵素・ポリフェノールなどの働きによって腸内環境が整えられます。すると消化吸収がスムーズに行われて、ニオイ成分が身体全体に行き渡るのを抑制してくれると言われています。そもそもゴボウは、食材として他の食品の「生臭さを消臭する」という働きを担う場合があります。ただし、ゴボウの消臭成分は「皮」の部分に多く含まれるため、消臭目的でゴボウを摂取する場合は、「皮」を厚く剥きすぎないことがポイントです。
ところでゴボウの成分である「ポリフェノール」は、抗酸化成分として消臭効果が期待できますが、この ポリフェノールを豊富に含む食品にチョコレートがあります。ですから、チョコレートを食後のデザートとして選ぶことで、「美味しい口臭対策」を実践することも可能です。ただし、きちんと丁寧な歯磨きを実践することで、くれぐれも虫歯には注意してくださいね。
なお、「仕事の商談」・「デート」・「会議」などのために「とにかく素早く口臭を消したい!」という場合は、食後に口臭対策用サプリetc.などを使用することも一つの方法です。ただし、これらの製品の効果や効能は製品によってマチマチ。 ですから、その製品の持つ特徴や成分などをよく知った上で、自分の好みや体質に合うものを選ぶことをオススメします。