「うそでしょ? 娘(息子)の口から口臭がする!?」 ある日突然、ふとしたタイミングではじめて自分の子どもの口臭を感じた時、そんな風に自分の嗅覚を疑ったママは少なくないはず。
でも、子どもだからといって口臭がないとは限りません。たとえ子どもであっても、さまざまな原因によって口臭が発生することがあるのです。
ただし、大人と違って特にまだ幼い子どもたちは、自分の口臭を自分でうまくケアすることはできません。子どもに口臭が発生しているとしたら、むしろそれは親の責任と捉え、少しでも早く対処してあげましょう。
とはいえ、大人にとっても子どもにとっても口臭が非常にデリケートな問題であることに変わりはありません。親として、子どもの口臭に関する知識をきちんと身につけたうえで、子どもの心を傷つけないように口臭をケアしてあげましょう。
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子どもの口臭は親の責任?!
大人と同様、子どもの口臭の発生原因や状態にはさまざまなパターンがあります。例えば、口腔内のトラブルが原因で一日中臭っている口臭もあれば、何か強いニオイの食べ物を食べた時にだけ臭う口臭。あるいは風邪をひいた時など、体調が悪いときにのみ臭うものもあるでしょう。
しかし、子どもの場合は大人と違い、お互いに顔を近づけてコミュニケーションをはかったり遊んだりすることが多いため、友だちなど自分の周囲の人間から直接口臭を指摘される可能性が高いのです。そんなとき、子どもは感情表現がストレートであるがゆえに「●●ちゃんのお口、臭い!」など、面と向かってはっきりと指摘されて傷ついたり、口臭がきっかけでイジメにまで発展してしまうケースも考えられます。
ですから、もしも自分の子どもに口臭を感じた場合には、子どもの口臭をきちんと管理してケアするは親の責任でもあるととらえ、一日も早くその口臭を消してあげるように心がけましょう。
ただし、実際には気にするほどの口臭ではないにも関わらず、むしろ親御さんが子ども口臭に敏感になりすぎているケースも見受けられます。そうなると、子どものためを思う親の心配や言動が、不必要に子どもの心を傷つけてしまうことにもなりかねません。
そうならないためにも、まずは子どもの口臭についての正しい知識をきちんと身につけて、適切な口臭ケアをしてあげましょう。
以下では数名の歯科医のアドバイスをもとに、子どもの口臭が発生する理由から、その口臭をケアするためのさまざまな方法までをご紹介します。
なぜ子どもでも口臭が発生してしまうのか?
1. 歯磨きの不徹底
大人であれ子どもであれ、口臭や虫歯予防のためにきちんと丁寧に歯を磨くことは基本中の基本です。歯を磨くことを怠れば、たとえ子どもであっても虫歯だけでなく歯周病に罹患する可能性が高まり、それが原因で口臭が発生する場合があるのです。
ですから、子どもには日々の歯磨き習慣を徹底して身につけさせるようにしましょう。ただし、せっかく歯磨き習慣を身につけても、そのやり方が間違っていては元も子もありません。親御さんがお手本となって、お子さんと一緒に「歯科医が推奨する磨き方」で歯を磨いて見せるなど、少しでも楽しく歯磨き習慣を身につけられるように工夫してあげられると良いですね。
2. 口呼吸による口腔内の乾燥
無意識のうちに口をポカンと開けたまま呼吸をする「口呼吸」の癖が付いているお子さんの場合、口腔内が常に乾燥した状態になります。すると、その乾燥した状態を好んで繁殖する口腔内の細菌群がその繁殖時に口臭のもととなる悪臭がするガスを放出させるため、口臭が発生しやすくなるのです。
また、口腔内の細菌が増殖すれば口臭が発生しやすくなるだけでなく、それらの細菌がもとで虫歯や歯周病に罹患しやすくなります。すると、虫歯や歯周病への罹患が原因でさらに口臭が発生しやすくなるという悪循環にもなるのです。
3. 食べ物を食べる際の咀嚼回数の不足
食事や間食をする際、食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまう子どもたちが多くいます。咀嚼回数が少なければ、口腔内に充分な量の唾液が分泌されないため、唾液によって口腔内の細菌を洗い流す浄化作用がうまく働かなくなってしまいます。
また、唾液の分泌不足は口腔内の乾燥をもたらすため、口腔内の細菌を繁殖させる引き金となります。そして、先にも述べたとおり、口腔内の細菌が繁殖する際に発生させるガスは口臭の原因となるのです。
ですから、お子さんには「よく噛んで食べ物を食べる」ことをきちんと実践するように伝えましょう。また、家での間食をりんごやなしにしてみたり、食事のメニューにごぼうやれんこんなど、歯ごたえのある根菜類を取り入れてみると良いでしょう。白米に玄米や雑穀米を加えるなど、必然的に咀嚼回数が増えるもので一工夫するのも良い方法ですね。
4. 低下した免疫力
風邪をひくなどして免疫力が低下すると、身体全体の細菌やウィルスと戦う力が低下します。つまり、口腔内における免疫力も衰えることにより、細菌群が増殖。口臭の発生元となる舌苔や膿栓も増殖するため、健康な時に比べてより一層、口臭が発生しやすくなるのです。
この免疫力の低下による口臭を防ぐためには、日頃から夜更かしによる睡眠不足にならないように心がけたり、お子さんの体調管理に気を配ってあげることが大切です。
また、精神的なストレスによっても唾液の分泌量が低下し、口臭の発生原因となる場合があります。いつもは気にならないお子さんの口臭がある日突然気になったら、それはお子さんの体調不良や精神状態の問題のサインかもしれません。
ぜひ、お子さん自身に確認するなど、気にかけてあげてくださいね。
5. 過度なマウスウォッシュの使用
一般の殺菌剤入りのマウスウォッシュには、もともと口腔内に生息している善玉菌まで殺してしまうものがあります。ですから、そういったマウスウォッシュを過度に使用すると、口腔内の悪玉菌を増殖させることにつながり、かえって口臭を発生させやすくしてしまうというリスクがあるのです。
たとえ水であっても、うがいの方法に気を配るだけで口腔内の細菌の増殖を抑制し、口臭を予防するのにかなりの効果が得られます。
また、緑茶や紅茶にも口臭を抑制する効果が見込めます。食事と合わせて飲むだけでなく、うがいをするときに利用すれば、口臭予防の効果が期待できるはずです。
家庭でもできる子どもの口臭対策
子どもに口臭を感じたら、よほどひどい口臭でないかぎり、まずは親御さんが自宅でできる口臭ケアに取り組んでみましょう。その方がお子さん本人にも過度なストレスを与えることなく、口臭改善ができるはずです。
1. 正しく丁寧な歯磨き習慣を身につけさせる
毎日きちんと歯磨きをしないと、口腔内には古くなって剥がれ落ちた粘膜のほか、食べ物のカス、細菌の死骸などが歯垢や舌苔となって蓄積していきます。そして、この歯垢や舌苔をエサとして分解し、細菌が増殖する際に発生させる悪臭を放つガスは、口臭の原因となるのです。
ですから、毎日の歯磨き習慣を徹底して身につけることは、子どもの口臭を抑制することはもちろん、虫歯や歯周病など口臭の発生原因となる口腔内のトラブルを抑制することにもつながるのです。
ただし、せっかく歯磨き習慣を身につけても、おざなりな磨き方では意味がありません。お子さんがきちんと正しい歯磨き方法で歯を磨くことで、口腔内を清潔に保てるように指導してあげましょう。
特に、小学校低学年以下の小さなお子さんなど、本人だけできちんと歯を磨くことが難しい場合には、親御さんが磨き足りないところを磨いてあげるなどフォローしてあげると良いでしょう。
また、どれほど丁寧に歯を磨いても、歯と歯のあいだのスキ間や奥歯の裏側など、どうしても歯ブラシが届きづらく、ヨゴレが落としづらい箇所などがあります。そういった箇所のヨゴレまできちんと落として口腔内を清潔に保つには、子ども用に開発されたこだわりの歯磨き粉や、子どもにも使える低刺激かつ、口腔内の悪玉菌だけを殺菌するマウスウォッシュなどを利用してみると良いでしょう。
2. ダラダラ食いの習慣をやめさせる
「食べ物を食べる」という行為には、唾液の分泌を促すというメリットがあります。ですから、食後は唾液とともに口腔内の細菌が胃に洗い流されるため、むしろ口臭は発生しづらくなるのです。
ただし、食べ物を食べた後、うがいや歯磨きをせずに放っておけば、時間の経過とともに食べカスなどをエサに細菌が繁殖することに結びついてしまいます。
つまり、お子さんにとって成長のために必要かつ大切なエネルギー源となる食事やおやつも、のべつまくなしにダラダラと食べていては、口腔内が不衛生になると同時に、口臭が発生しやすくなる原因となってしまうのです。
お子さんの健康および口臭予防のためには、食事やおやつは毎日できるだけ規則正しい時間に食べさせるようにすると良いでしょう。
3. 口呼吸を直して鼻呼吸に改善する
先にも述べたとおり、口呼吸の習慣がついている子どもは常に口腔内が乾燥した状態であるがゆえに口腔内に細菌が増殖しやすく、口臭も発生しやすくなります。
口呼吸の習慣を改善するには、就寝前に口を閉じた状態で上から縦に絆創膏などでテーピングをし、口が開いたままの状態にならないようにして眠るのもその一つの方法です。
ただし、副鼻腔炎などで常に鼻が詰まった状態にあるなど、何らかの鼻の病気が原因で口呼吸になっていることも考えられます。お子さんの癖や生活週間によるものでない場合には、耳鼻咽喉科に受診・相談することをオススメします。
4. こまめに、充分な水分補給をさせる
口臭を予防するのに、実にシンプルで効果的な方法の一つに水分補給があります。水分補給には、口腔内の乾燥を防いで口臭の元となる悪臭を発生させる細菌の増殖を防ぐほか、細菌を胃に洗い流したり、唾液腺を刺激することで唾液の分泌量を促すなど、さまざまな働きと意味があるためです。
また、そもそも唾液の99%以上が水分であると言われています。ですから水分補給をすることは、口臭を防いでくれる役割を担う唾液の元となる水分を体内に蓄えるという意味もあるのです。
子どもに必要な1日の水分量は、生後~1歳で体重(1kgあたり=以下同様) × 120~150ml、1~7歳で体重 × 90~100ml、7~12歳で体重 × 60~80ml。つまり、7~12歳の30kgの子どもの場合、1800ml〜2400mlもの水分が必要とされる計算になるのです。
中でも朝の起床直後は口腔内が乾燥しているため、就寝中に増殖した細菌群のせいで口臭も発生しやすくなっています。起床後はしっかりとうがいをして口腔内の細菌を洗い流し、きちんと朝食を取ることで唾液の分泌量をアップさせると同時に、食べ物や飲み物から充分な水分量が摂取できるようにしてあげましょう。
なお、こまめな水分補給をする際は、ジュースなど虫歯の原因となるリスクがあるものよりも、お茶や紅茶、ミネラルウォーターなど無糖のものがオススメです。
5. 定期的に専門医(歯科・耳鼻咽喉科)を受診させる
虫歯や口呼吸の原因となる鼻・喉に関する病気のチェックを兼ねて、歯科医院や耳鼻咽喉科などの専門医を定期的に受診させましょう。
また、子どもであっても歯石は蓄積します。定期的に取り除いてあげることで口腔内を清浄に保つことができるほか、口臭の予防になりますよ。
最後に
子どもの口臭をケアするには、幼い頃からきちんとした歯磨き習慣を身につけさせるなど、口臭に対する意識を持たせることが重要です。
ただし、親御さんが子どもの口臭に気づいた場合には、子どもの心を傷つけないように気遣い、上記の内容を参考にしてさまざまな角度から口臭ケアを行うことで、子どもの口臭を消してあげるようにしましょう。
子どもの口臭は子どもの心と身体の不調のサイン。また、その口臭をケアして消してあげるのは、病気になった子どもを治癒させてあげることと同様に親の務めと捉え、対処を行ってあげてくださいね。