職場の同僚や家族や恋人など、自分にとってごく身近な存在の人の口臭に気づいた時、あなたならどうしますか?
自分がその嫌なニオイの口臭を嗅ぎたくない、はっきり言って迷惑!という思いももちろんあるでしょう。でも、特に家族や恋人など自分にとって本当に大切な人の口臭は、相手のためを思えばこそ、きちんと指摘して気づかせてあげることで、できるだけ早くその口臭を改善・消臭させてほしいと思いませんか?
「スメルハラスメント」という言葉さえも存在する今の世の中では、ニオイについてのケアは気を使って当然のエチケット。口臭は周囲の人たちの迷惑になるばかりか、その口臭がもとで職場の人間関係を悪化させてしまったり、仕事上の大切なお客様を失ったり……。あるいは、恋人との破局を招く、などという最悪の事態にもなりかねません。
一方で、その口臭の背景には虫歯や歯周病などの口腔内のトラブルが潜んでいたり、鼻や喉、呼吸・消化器系の疾病のほか、糖尿病・肝臓病などをはじめとする重大な病気が原因となって口臭が発生している場合もあるのです。
自分の大切な人たちがそんなリスクに巻き込まれないようにするためにも、できるだけ早くその口臭に気づいてもらうと同時に、改善してもらいたいものですよね?
そこで今回は、相手の口臭に気づいた時に、相手を傷つけずにその口臭を伝える方法について考えてみました。皆様のご参考になれば幸いです。
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相手を傷つけずに「口が臭いこと」を伝える実践編
相手の口臭に気づいたからといって、それをストレートに伝えてしまっては相手との人間関係を壊すのみ。でも、そこをガンバって勇気を出して伝えてあげることが、むしろ相手のためにもなる大人のたしなみと捉えて指摘してあげましょう。
コツは相手の立場に立って、「もしも自分がこう言われたらどうだろう?」という配慮をしながら、口調などもあくまでもソフトに謙虚にを基本にすることです。
例1 目上の人や上司などに、その口臭を伝える場合
「あの、私の気のせいだったら本当にすみません。気を悪くせずに聞いていただきたいのですが……。
実はうちの父が以前、胃の調子を壊したことがありまして……。その父と話している時に感じたニオイとちょっとだけ似ているニオイを感じた気がしたものですから、差し出がましいかとは思ったのですがお伝えさせていただきました……」 |
まずはこちらから謝ってしまうことで、相手に気をつかっていることをアピールするのがポイント。それと同時に、あえて前置きをすることで相手が自分の口臭を指摘されてショックに思う気持ちを和らげてもらい、聞く耳を持ってもらうための伝え方です。
また、これだけでは間が持たないようなら、こう伝えた後に、「これ、お嫌いでなかったらどうぞ」などと、口臭消臭用のミント系タブレットをさりげなく差し出してみるのも一つの方法かもしれません。
回りくどい伝え方のように感じるかもしれませんが、せっかく相手のためを思って口臭を指摘しても、相手に恥ずかしい思いをさせるだけで終わってしまったり、相手から恨まれてしまっては元も子もありません。あくまでも謙虚な姿勢で伝えるようにしましょう。
この伝え方をする場合には、個室のような空間を選んだり、公共の場であっても周りの人には聞き取れないくらいの小声で伝えるなど、相手への配慮を怠らないようにしましょう。
例2 目上の人や上司、同僚などに、その口臭をさりげなく伝える場合
「もしかして今日、体調を崩していっしゃらいませんか?」と声をかけながら、ミネラルウォーターや口臭予防に効果のある緑茶・紅茶などを差し出してみせる。
その際、「こちらは気分のリフレッシュになるかもしれませんから、よろしければどうぞ」と、ミント系・キシリトール系のガムや、口臭消臭用のミント系タブレットなどを添えてみるのも良いかもしれません。 |
口臭は口腔内が乾燥していると発生しやすいものであるため、水分を補給することで改善される効果が期待できます。また、ガムを噛むんだり口臭消臭用のミント系タブレットを舐めることで唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促すことでも口臭の改善効果が見込めます。
この伝え方は相手の口臭について直接指摘するものではありませんが、普段から水や飲み物、ガムや口臭消臭用のミント系タブレットなどをもらっている相手でもない限り、「今日に限ってなぜ?」と、相手に喚起を促すことができます。
この伝え方なら相手があなたの行動によって自分の口臭に気づいた場合も、あえてストレートに口臭という言葉を使うことを避け、自分の体調を思いやる態度で自分の口臭に気づかせてくれたことを、自分への気配りとして受け止めてもらえるのではないでしょうか?
仮に気づいてくれない場合でも、水や飲み物を飲んだり、ガムや口臭消臭用のミント系タブレットを食べるなどしてくれれば、口腔内が乾燥したままの状態に比べて口臭は改善されるはずです。
なお、同僚に声をかける場合には、口調はもう少し砕けたものにしながらも、あえて相手のことを思いやる姿勢はくずさないようにしましょう。
例3 目上の人や同僚などに、その口臭を伝える場合
(両手で自分の口を覆って、「ハーッと」息を吹きかける仕草をしながら)「え?なんか今、突然感じたんですけど、もしかして私の息、臭ってます? 実は私、昨日餃子を食べ過ぎちゃったんで、急に不安になっちゃって……。 |
周辺に漂う口臭は自分のせい?という仕草で、間接的に相手の口臭を指摘する方法です。実際に口臭を発生させている本人がこちらの口臭を感じない時点で、「もしかして臭っているのは自分の口臭かも?」と気づいてくれることを期待します。
まずは自分が悪者?になることで辺りの空気を重くせず、良い意味でラフに感じられる方法です。
ただし、この気遣いが伝わらない強者もいるかもしれません。そういう時は例1など、謙虚でありながらも、こちらが指摘しているのはあくまでも相手の口臭であることがわかる伝え方や、例2などを選んだほうが良いかもしれません。
例4 目上の人や同僚などに、その口臭を伝える場合
(お昼休みなどの休憩時間に、口臭について書いてあるサイトなどを開いてその画面を見ながら)「え~そうなんだ。いや最近、彼氏(彼女)の口臭が気になるもので口臭に関するサイトを見てたんですけど……。
今って歯周病になってる人の割合がすごい多いんですね?20代で70%、30~50代で80%ってすごくないですか?しかも、歯周病が口臭の原因になるって、よく知らなかったですけど、もしかしたら彼氏(彼女)もそうかもしれないですよね? こんなに割合が高いんじゃ、私(僕)も人のこと言ってる場合じゃないかも……。毎日、歯磨きしてるからOKっていうことでもないんですね……」 |
この伝え方も相手に一対一で面と向かってその口臭を伝えるのではなく、相手の注意を喚起する方法なので、その場の雰囲気を重くしないで済みます。
歯肉炎及び歯周疾患の患者数は、331万5,000人
歯周病の有病率、20歳代で約7割、 30~50歳代は約8割、60歳代は約9割
歯科診療の医療費は、2兆7,368億円出典:一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 最終閲覧日 2019. 07.27
一方、上記の実際の統計に基づいて歯周病の罹患率の高さを明確に主張することで、「もしかすると、自分も口臭を発している可能性があるかも?」という自覚を促すことができます。
ただし、これで伝わらない場合は、やはり例1や例2などの方法を選んだほうが良いかもしれません。
※なお、上記はあくまでも伝え方の例です。また、相手の年齢や性格、その場のシチュエーションや伝える側の表情・言い方などに応じて、受け取り方もさまざまかと思います。ご参考にしていただく場合は、あくまでもご自身の責任でお願いいたします。
こんな伝え方はNGです!
相手にその口臭を伝える時は、まず相手の立場に立って考えてみましょう。もしも自分だったら、こんなふうに言われたらどう思うか? 傷つくことはないか?
優しさのカケラもない、あまりにストレートな表現をされたら、口臭を指摘された側は恥ずかしく思うだけでなく、指摘してきた相手を恨む気持ちすら抱くようになるかもしれません。
口臭は円滑な人間関係を築くうえで、実にデリケートな事柄です。以下に示すような言い方はNGワードとして捉えましょう。
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また、ストレートに言葉にしないからといって「相手の顔の前を手で扇ぐ」、「これ見よがしに部屋の窓を開ける」、「いかにもクサイと言わんばかりに、鼻をつまんで見せる」など、あからさまな態度もNGです。相手によっては、言葉でストレートに言われるよりもさらに傷ついてしまうかもしれません。
また、職場の同僚や先輩、もしくは共通の友人たちなどのあいだで、口臭がする人のことを「●●さんの口がクサイ」などと、噂するのもやめましょう。本人がいない場所で話したつもりでも、回りまわって本人の耳に入ることも考えられます。もしも自分が同じことをされたら、イジメを受けた子どものように、二度とその人たちの輪に加われなくなってしまいますよね?
大人や社会人である前にまず人としての自覚を持って、相手のことを傷つけるような伝え方にならないように心がけましょう。
もしも自分が口臭を指摘された場合には?
口臭はいつ何時、誰に起こってもおかしくないものです。実際、日々どれほど口臭ケアに気を配っていたとしても、昼食にうっかりニンニクの効いた餃子を食べてしまったり、喫煙後に消臭用のガムを噛むのを忘れたりするだけで、食べ物や飲酒、喫煙などが原因で起こる「外的口臭(口臭の種類についてはこちらをご覧ください。)」が発生してしまう可能性があるのです。
つまりそれは、ある日突然、自分が誰かから口臭を指摘される立場になるかもしれない、ということです。もしそうなってしまった場合、あなたならどう対応しますか?
誰かから口臭を指摘されて、喜んだり嬉しく思ったりする人はまずいませんよね?恥ずかしかったり、傷ついたりして当然でしょう。
でも、だからといって相手のことを怒ってしまったり、取り乱してしまっては大人として失格です。それ以降の相手との人間関係を踏まえて、以下のような大人としてしかるべき態度を取るように心がけましょう。
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同僚などに自分の口臭を指摘された場合は、例えば「え、本当に?もしかしたら昨日の夜、たっぷりニンニクを効かせたパスタを食べちゃったせいかもしれない……。ごめんね、クサかったよね?」など、まずは謝ってみせましょう。
その後、「この後、ちゃんと丁寧に歯を磨いてくるね。教えてくれてありがとうね」など、指摘された口臭を改善する対処策を具体的に伝えたうえで、教えてくれたことへの感謝の気持ちを伝えましょう。
口臭を指摘する方法は、たとえ親しい仲であったとしても実に難しいものです。親しいからこそ相手のことを傷つけたくもなければ、相手との関係性を壊したくないのが本音というもの。
自分に口臭を指摘してくれた相手の方こそ、どのように伝えれば良いかと悩んだ挙句、それでもあなたのことを思って伝えてくれたのかもしれません。実際、その人が指摘してくれたおかげで、自分の口臭がそれ以上、他の人に対するスメルハラスメントにはならずに済んだのかもしれないのです。
相手に対するサラリとした感謝の言葉返したり行動を取ることで、勇気を出して自分の口臭を伝えてくれた相手に、「思い切って伝えてよかった」と思われるような対応ができたら良いですね。
最後に
口臭は現代社会においてスメルハラスメントの一つとして捉えられ、それが原因で人間関係に支障をきたす場合があるほど、実に難しい問題です。
また、だからこそ、その口臭を伝える側にとっても伝えられる側にとっても、その伝え方や答え方は本当にデリケートなもの。どちらの立場になったとしても、相手の立場に立って、相手を傷つけたり、相手に不愉快な思いをさせないように気を配り、その後のより良い人間関係につなげたいものですね。
とはいえ、口臭ケアにはやはり日々の気配りが必須です。不必要なストレスを受けずに、周囲の人たちとの円滑な人間関係を築くためにも、正しい歯磨きの方法などの基本的なオーラルケアから、折に触れて口臭をセルフチェックすることなど習慣づけておくと良いですね。