糖尿病が原因の口臭を改善・予防するには?

口臭を発生させている人が、その口臭を改善・消臭・予防する必要性は、今や社会的な問題と言っても過言ではない状況になってきています。というのも、つい最近、私が働く歯科医院に通う患者さんの一人が経営する会社では、ある社員の口臭が周囲の社員たちを辟易させるほどひどく、とうとうそれを理由に退職者まで出たというのです。

「他人の口臭のせいで会社を辞めたくなる」というのはあまりにも極端な例ですが、この話は「口臭がいかに自分では気づきにくいものであるか」ということと同時に、「口臭は周囲の人々にとって極めて深刻な迷惑になっていることがある」ということの典型であると感じました。

また、ここまでひどい口臭となると、何らかの病気に罹患している可能性も考えられます。なぜなら口臭には大きくわけて以下4つのカテゴリーがありますが、中でも2の「病気が原因による病的口臭」には、その他のカテゴリーの口臭とは異なる強い口臭を発生させる場合があるからです。

 1.   生理的な原因による「生理的口臭」
2.   病気が原因による「病的口臭」
3.   食べ物・飲酒・喫煙などによる「外的口臭」
4.   精神不安・ストレスなどによる「心理的口臭」

病的口臭とは、健康な人でも発生する場合がある生理的口臭とは異なり、何かしらの病気(疾患)が原因となって発生する口臭です。 【病気(疾患)が...

病的口臭には、消化器系の病気に罹患している場合に起こる「卵の腐敗臭のような口臭」、肝臓病などによって発生する「アンモニア臭のする口臭」をはじめ、糖尿病によって起こる「甘酸っぱい果物の腐敗臭のような口臭」などざまざまなものがあります。

また近年では、歯周病は糖尿病の合併症であるとも言われるほど、歯周病と糖尿病のあいだに因果関係があることがわかっています。

ここでは、糖尿病によって発生する口臭の内容から歯周病と糖尿病の関係、またその因果関係による口臭の改善・予防方法などについて考えていきましょう。

糖尿病によって発生する口臭とはどのようなものなのか?

糖尿病によって発生する口臭のおもな原因は、糖尿病に罹患した際に身体の中でつくられる「ケトン体」という物質だと言われています。

糖尿病の症状が進行すると、身体の中で糖の代謝をコントロールすることによって血糖値を保つ働きを担うインスリンという物質が不足し、糖からエネルギーを作り出すことができなくなります。すると、私たちの身体は糖の代わりにタンパク質や脂肪を分解することによって、エネルギーを確保せざるをえなくなるのです。これらの過程で生み出される物質がケトン体です。このケトン体が含む「アセトン」という物質は独特のニオイを持っており、これが呼気として吐き出されると、「甘酸っぱい果物の腐敗臭のような口臭」が発生してしまうのです。

ちなみに、このケトン体は過度なダイエットをしている際にも分泌されることがあります。これは極端に食事の回数を減らすなどして、身体に摂取する食べ物の量が激減すると、糖尿病が進行した時と同じ一連の作用が身体の中で働くためと考えられます。

ダイエットを行う際は口臭を防ぐためにも、バランスのとれた食事を適量、1日3食きちんと取りながら並行して適宜運動を行うなど、身体に負担のかからない正しい方法で行うように注意しましょう。

糖尿病と歯周病の因果関係とは?

近年、よく耳にするようになってきている「糖尿病と歯周病とのあいだにある因果関係」とはどのようなものなのでしょうか?まずは、これまでの調査や研究結果から報告されていることを見てみましょう。

1 糖尿病に罹患している人は、歯周病に罹患する確率が高い

さまざまに存在する調査によっての差はあるものの、糖尿病に罹患している人を糖尿病に罹患していない人と比較すると、概ね2倍強の人が歯周病に罹患する傾向にあるとのことです。

2  歯周病に罹患している人は、糖尿病に罹患する確率が高い

1と逆のパターンで、歯周病の人はそうでない人と比べると、約2倍ほど糖尿病への罹患率が高いと言われています。

3 糖尿病に罹患している人は、歯周病が重症化しやすい

糖尿病に罹患している人は、「歯周病に罹患している歯の本数」「歯周ポケット(歯と歯茎のあいだにできる溝)の深さ」など、歯周病の症状の重さを測る程度が、糖尿病に罹患していない人に比べて悪い状態にあることが報告されています。

4 糖尿病に罹患している期間が長期にわたる人ほど、歯周病に罹患する確率が高い

糖尿病の罹患期間が長い人は高齢である確率が高く、それに比例して歯周病の罹患率も上がるものと考えられます。

5 血糖値のコントロールが悪い人ほど、歯周病が重症化しやすい

血糖値のコントロールがうまくできていないと、糖尿病の合併症である疾病の進行速度がアップします。歯周病についても、これと同じ傾向が見られます。

6 重症化した歯周病の人ほど、血糖値のコントロールが悪い

5と逆のパターンで、糖尿病の合併症の発症率も高くなる傾向にあると言われています。

7 糖尿病に罹患していない歯周病の人でも、糖尿病予備軍である確率が高い

歯周病に罹患している人の場合、糖尿病と言えるほどの高血糖ではない場合でも、その血糖値は比較的高く、糖尿病予備軍と言えるような数値であることが多い。

上記のように、さまざまな研究結果や報告はされているものの、実は糖尿病と歯周病の因果関係は完全に解明されたわけではありません。

例えば、糖尿病に罹患すると歯周病を併発しやすい理由は高血糖によるためなのか、あるいは双方の発症原因として考えられる生活習慣や遺伝的背景が関連しているのか、もしくはそれ以外の理由なのかなど、詳しいことまで明確にはわかっていないのです。

ただし、相関関係として考えられるメカニズムとしては、まず糖尿病に罹患して高血糖になると、尿細管内に生じる浸透圧の関係で、多尿になるということが挙げられます。また、多尿になると体内の水分量が減少するため唾液の分泌量も低下し、糖尿病の症状としての「のどの渇き」が現れます。一方、この唾液の分泌量の低下による口腔内の乾燥は、口腔内に生息する歯周病菌を含む細菌の繁殖を促進するため、歯周病への罹患率もアップする、と考えられるのです。

糖尿病が原因の口臭を改善・予防する方法とは?

では、糖尿病が原因で起こる口臭を改善・予防するにはどうすれば良いのでしょうか?

まず第一に、先に述べたようなケトン体が含む「アセトン」を原因とする「甘酸っぱい果物の腐敗臭のような口臭」を感じたら、それを糖尿病のシグナルと捉え、いち早く専門医による診断を受けることをオススメします。

また、糖尿病と診断されて以降も、糖尿病そのもののを改善するための対策を行うで、その口臭を改善することが可能になります。以下に、その具体的な方法を挙げていきましょう。

1 暴飲暴食を避ける

食事を取る際は、まず〝食べ過ぎや飲み過ぎ〟に注意しましょう。身体に摂取した食べ物や飲み物は体内でブドウ糖に変化し、血液中に送られることによって血糖値を上昇させます。ブドウ糖は私たちが日々生きて、活動するために欠くことのできないエネルギー源ともいうべき成分ですが、過度な飲食は過剰なブドウ糖を生み出すことになり、血糖値を必要以上に上昇させることにつながってしまいます。ですから、これを避けるためにも、食事はその都度、適量を摂取することが大切なのです。

また食事は量だけでなく、その内容にも気を配り、タンパク質・脂質・炭水化物・ミネラルのほか、食物繊維などの栄養素をバランスよく食べるように心がけましょう。中でも、血糖値の急上昇を抑制する働きを持つ豆類・きのこ・海藻・野菜などの食物繊維を積極的に取ることがオススメです。

さらに、〝食べ過ぎや飲み過ぎ〟を防ぐためにも、食事と食事のあいだは5~6時間ほど空けるようにするのがベストです。お腹が空かなかったり、忙しいからといって朝食を抜いてしまうことは、昼食や夕食の〝ドカ食い〟につながってしまいます。1日3回、規則正し時間に食事を取ることが、食べ過ぎや飲み過ぎを防ぐ、最もシンプルな方法といえるかもしれませんね。

2 質の良い睡眠を取る

睡眠不足によって自律神経が乱れると、交感神経が刺激されることにより血糖値が上昇してしまいます。また、睡眠不足による疲労の蓄積は身体にストレスを与えてしまうことになり、このストレスによって交感神経を刺激してしまうこともあるのです。ですから、1日につき6~8時間はしっかりと睡眠時間を確保するようにしましょう。

ただし、トータルの睡眠時間ばかりを気にして、睡眠の質がおそろかになっていては意味がありません。身体がきちんと休息できる、質のよい睡眠を取ることが大切です。そのための基本は、まず規則正しい生活習慣を身につけること。また、就寝前に食事をしたり、パソコンやスマートフォンなどに集中することは脳を興奮させ、身体も休まることがなく、睡眠障害になってしまう可能性があるため避けた方がいいでしょう。

3 適度な運動をする

運動をすると血液中のブドウ糖を消費することができるため、血糖値を下げることにつながります。また、定期的・継続的な運動による筋肉の発達は、やはり血糖値の上昇を抑制する効果があると言われています。ただし、心臓や肝臓に負担のかかる過度な運動は血糖値を上昇させるホルモンの分泌量をアップしてしまったり血圧の上昇を導いてしまい、逆効果になるため注意が必要です。

血糖値を下げるのに効果的な運動は、〝ややキツイかな?〟と感じる程度の有酸素運動だと言われています。簡単で取り組みやすい運動の例としては、1日につき15~30分ほどのウォーキングを最低でも週に3~4日の頻度で行うことなどが挙げられます。

また、ヨガや太極拳などのゆったりとした動きの運動であっても、正しく行うことで安全かつ効果的な運動療法として認められています。ひざ関節や腰に負担をかけないように、身体に負担の少ない水中運動や椅子に座ったままできる運動なども良いですね。

いずれにせよ〝継続は力なり〟ですから、ご自身が楽しく続けることのできる運動方法を選ぶのがベストですね。

4 歯周病の治療を行う

近年になって、「歯周病の治療を徹底的に行うことによって、糖尿病患者の血糖コントロールが改善できる」ということがわかってきています。

具体的には、歯周病に罹患している人本人が正しい方法できちんと歯を磨くなど、口腔内における歯垢の蓄積を防ぐと同時に、歯科医院において、歯周病の炎症の原因となっている歯石を定期的かつ確実に取り除くことが大切だと言われています。

そうすることで、歯肉の炎症を抑制することによりインスリンの抵抗性(血糖値を下げるためのインスリンの効果)が改善し、糖尿病の症状の緩和につながるという臨床結果が数多く報告されているのです。

これは〝逆もまた然り〟で、糖尿病に罹患していても、きちんと血糖コントロールができてさえいれば、歯周病の発症率は糖尿病に罹患していない人とほとんど差はない、と考えられています。

つまり、糖尿病と歯周病の双方を同時にきちんと治療することにより、互いに良い影響を与え合い、身体に良い結果をもたらしてくれると言えるでしょう。

5 糖尿病対策に効果を発揮するサプリメントやお茶などを生活に取り入れる

ケーキや和菓子など、甘いものがなかなかやめられないなどのお悩みをお持ちの方には、食事や間食と一緒に飲めるお茶が便利ですね。

糖質コントロールに効果を発揮するとされる食物繊維が豊富なこのお茶は、愛飲者からも抹茶風味で飲みやすいと評判です。

糖煎坊

また、お茶が苦手な方やササッと飲めて便利なものをお好みの方には、サプリメントを利用する方法もあります。空腹時の血糖値を正常化するためのサポートや、食後の血糖値の上昇を穏やかにしてくれる効果を持つサプリは、食事制限などのストレスを回避しながら糖質コントロールができるのが魅力ですね。

アラプラス糖ダウン

一包ずつに分かれているお茶や、錠剤タイプのサプリメントは携帯用にも便利です。自宅だけでなく、職場や外出先でも気軽に利用できるお茶やサプリなら、日頃から手間暇かけずに糖質コントロールができて便利ですね。

最後に

ここまで読んでいただいたとおり、糖尿病が原因の口臭を改善・予防するためには、糖尿病そのものを改善するための対策を取ることが先決です。まずは、日頃の生活態度を見直し、暴飲暴食や睡眠不足などを避けると同時に、適度な運動を行ったり、できるだけストレスを溜め込まないように注意するなど、糖尿病の改善につながる生活習慣にシフトすることを心がけましょう。

また、主治医と相談の上、糖質コントロールに有効とされるお茶やサプリメントを取り入れることも、日常生活を見直すことにつながるはずです。

まさに〝継続は力なり〟ですから、たとえ小さなことでも、日々、コツコツと続けることが大切。そうすることにより糖尿病による口臭はもちろん、知らず識らずのうちに糖尿病そのものが改善し、より健康的な生活にきっとつながることでしょう。

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