改善・消臭したいと悩むその口臭の原因が、実は「鼻炎」にあったというのは決してめずらしいことではありません。
そもそも口臭は「生理的口臭」「病的口臭」「外的口臭」「心理的口臭」という、大きく4つのカテゴリーに分けることができますが、このうち鼻炎がもとで発生する口臭は、何らかの病気が原因で起こる「病的口臭」であると考えることができるのです。
ここでは鼻炎がもとで起こる口臭の原因、その口臭の改善・予防方法などについて見ていきましょう。
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鼻炎がもとで起こる口臭にはどのようなものがあるのか?
鼻炎がもとで起こる口臭には、大きく分けて以下2つのものがあると考えられます。
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1、2ともに、根本的には鼻炎がもとで起こる口臭でありながら、それぞれの口臭が発生するメカニズムは大きく異なります。メカニズムが違えば、当然その口臭を改善するための対処法も異なってきます。まずはご自身の口臭がどちらに該当するのかを見極めたうえで、その口臭を改善・予防するための対策を行うようにしましょう。
1 鼻炎による口呼吸が原因で発生する口臭
鼻炎になって鼻が詰まると、口呼吸を併発することが多々あります。口呼吸になると唾液の分泌量が低下し、口腔内が乾燥します。すると、口腔内に生息する細菌が繁殖しやすくなるのですが、その際、これら細菌が、古くなって剥がれ落ちた口腔内の粘膜や食べカスなどをエサにして繁殖する際に発生させるニオイの強いガスが、口臭の原因となってしまうのです。
この口臭を防止するためには、口腔内を乾燥させる原因となってしまう口呼吸を防ぐのがベストな対策です。鼻の通りを良くして口呼吸を防ぐためには、①鼻の洗浄を行う ②鼻の通りを良くして、口臭の改善に効果を発揮するお茶を飲む、などの方法が考えられます。
「①鼻の洗浄を行う」という方法は、鼻づまりを解消して鼻の通りを良くするための最もダイレクトな方法と言えるでしょう。ただし、根本的な治療というよりは、むしろ対症療法に近い方法ですから、「②鼻の通りを良くして、口臭の改善に効果を発揮するお茶を飲む」という方法を併用すると、より効果的かもしれませんね。
「②鼻の通りを良くして、口臭の改善に効果を発揮するお茶を飲む」という方法は、鼻の洗浄を行ったり、鼻炎改善用のサプリメントを利用するよりも、より自然な方法で鼻の通りを良くすることで口臭を改善したい、という方にオススメです。食事と一緒に、またはリラックスタイムのお供として、美味しいお茶を味わいながら鼻炎の改善および口臭の改善・予防が図れるのは一石二鳥ですね。
また、就寝中に知らず知らずのうちに口呼吸になってしまうのを防ぐには、「(口が開かないように)テープを口に貼って寝る」というのも一つの方法です。あるいは(抱き枕などを利用して)、横向きに寝るようにすると、舌が気道をふさいでしまうことを避けることができ、呼吸が楽になって口呼吸を防ぎやすくなります。
2 副鼻腔炎など、鼻炎そのものが原因で発生する口臭
そもそも鼻には、鼻の中での空気の通り道となる「鼻腔」および、それにつながる「福鼻腔」と呼ばれる洞穴が左右に4か所存在しています。通常、鼻が健康な状態であれば、鼻腔から呼吸として取り込まれた空気は、福鼻腔にスムーズに流れていくことになるわけです。
ただし、風邪などに罹患して福鼻腔に細菌が入り込むと粘膜が炎症を起こし、その炎症から生じるネバネバとした分泌物や膿が福鼻腔内に蓄積します。これが「副鼻腔炎(俗称:蓄膿症)」と呼ばれる鼻の病気です。そして、この副鼻腔炎によって福鼻腔内に溜まった鼻汁や膿は、卵や魚が腐敗したようなニオイを放ち、粘り気が強いために鼻をかんで取り除くことも難しいため、たとえ鼻呼吸ができたとしても鼻から悪臭が放たれることになります。また、それと同時に、呼吸として吐く息と混じって、口臭となってしまうのです。
また、最近では気管支喘息を原因とする酸球性副鼻腔炎や、真菌性副鼻腔炎と呼ばれる、副鼻腔の中にカビが生える病気に罹患することによって発生する口臭も散見されるようになってきています。この他、歯科技術としてインプラントが普及するようになったことで、上顎洞にインプラントを施した際に生じる急性の副鼻腔炎や、鼻のレントゲンを撮影しただけでは確認しづらい副鼻腔の中の篩骨洞炎や蝶形骨洞炎によって起こる口臭などもあります。
口臭の原因となる副鼻腔炎セルフチェック術
皆さん、風邪をひいた後、その風邪がなかなか治らずに、鼻汁が徐々ににごって粘り気のあるドロドロとしたものになってきた……などという経験はありませんか?実はそれ、ただの風邪ではなく、副鼻腔炎に罹患している可能性が考えられます。
風邪の主な原因がウィルスであるのに対し、風邪によって体力を消耗した状態にある身体の中で、特に福鼻腔が細菌による二次感染で起こす炎症のことを副鼻腔炎と呼ぶのです。
以下のような症状が見られる場合は、副鼻腔炎に罹患しているかもしれません。皆さん、ぜひセルフチェックをして、早い段階でその症状を改善できるように心がけましょう。
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以上、風邪の症状と区別をするのが難しいところかもしれませんが、中でも鼻水の状態や、痛みが出ている場所などに留意してチェックをしてみてください。そのうえで、多少なりとも気にかかる症状がある場合には、少しでも早く耳鼻咽喉科をはじめとする専門医や病院を受診することをオススメします。
副鼻腔炎を予防。あるいは罹患しても悪化させずに、口臭を予防・改善するためのポイント
副鼻腔炎が原因で発生する口臭を予防するには、副鼻腔炎に罹患しないようにするのが一番です。ただし、罹患してしまった場合でも、その症状を悪化させないように気を配ることで、口臭を予防・改善することが可能です。
以下のポイントに注意して、副鼻腔炎を予防。または副鼻腔炎に罹患しても、それが原因で発生する口臭を予防・改善しましょう。
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1 風邪をひいたら、無理をせずに休養に努める
副鼻腔炎に罹患しないよう予防するには、風邪をひかないようにすることが重要です。風邪を予防するには、日々、バランスの良い食事を取ること、および規則正しい生活を送ることに気をつけましょう。
それでも風邪をひいてしまった場合には、できるだけ早く病院を受診したり、薬を服用するなどして治療に専念しましょう。充分な睡眠や休養を取ることも、風邪には重要な治療方法の一つとなります。できるだけ無理をせず、しっかりと風邪を完治させることで、副鼻腔炎への移行を防ぎましょう。
2 風邪の症状を感じたら、アルコールを控えるよう心がける
風邪に罹患した場合、アルコールを控えて休養を取る必要があることはもちろんですが、これは鼻づまりなどの症状の悪化を防ぐためにも非常に重要なポイントです。
なぜなら、アルコールによって血行が良くなると、鼻水によって通りの悪かった鼻がさらに詰まってしまう可能性があるからです。風邪が完治するまでのあいだは、アルコールの摂取はぜひとも控えましょう。
3 時折、鼻の洗浄を行うようにする
中でも好酸球性副鼻腔炎に罹患し、手術を受けた人の場合は鼻洗浄を行うのがオススメです。鼻洗浄を行うことで再発を防ぎ、現状を維持することが可能になります。
鼻洗浄は飲み薬などと異なり、副作用などの可能性も極めて低いうえ、風邪や花粉症対策としても有効なためオススメです。
4 市販の点鼻薬の利用はほどほどに控える
副鼻腔炎などで詰まった鼻の通りを良くするための市販の点鼻薬には、ほとんどの場合、血管収縮薬が用いられています。これらの点鼻薬は即効性がある反面、繰り返し用いることによってその効果が薄れてくるうえ、鼻の粘膜が炎症を起こしてしまうというデメリットの可能性もあるのです。
ですから、鼻づまりがひどくて睡眠の障害になるような時以外はできるだけ使用を控え、特に連続使用は避けるようにして早めに専門医を受診しましょう。少しでも早くきちんとした治療を受けることが、副鼻腔炎の改善への近道になるはずです。
5 鼻炎改善に効果が期待できるお茶を活用する
「お茶を飲む」という方法は、「より自然な方法で鼻の通りを良くすることによって口臭を改善したい」という方にオススメです。食事と一緒に、またはリラックスタイムに美味しいお茶を味わうことが鼻炎・口臭の改善・予防につながれば、楽しみながら口臭の改善・予防ができますね。
最後に
鼻炎による口臭を防ぐには、鼻炎による口呼吸を防ぐことと、風邪の後に併発しやすい副鼻腔炎を防ぐことが大切だということがおわかりいただけたことと思います。いずれの場合もこのページを参考に、自ら体調管理や対処策に取り組むことで、口臭の改善・消臭につなげていただければと思います。
ただし、副鼻腔炎の治療などに関しては、できるだけ早めに耳鼻咽喉科などの専門医を受診し、正しい治療を受けるように心がけてくださいね。そうすることによって、無駄な労力をかけることなく、より短期間のうちに口臭を改善することができずはずです。